B2Bマーケのあるあるの一つとして、営業からマーケティングに対する様々な要望が舞い込んできます。マーケ部門側も既に計画済みのキャンペーンやタスクでリソースが逼迫している中、雑多な要望に対応しきれないのが実情でしょう。では、どのようにこういった要望を捌くべきか、について、今回のブログで考えをまとめてみました。
■営業からの溢れ出るマーケ要望
B2Bマーケのあるあるの一つとして、営業からマーケティングに対する様々な要望が舞い込んできます。皆様も、今までの経験を書き出してみてください。どんな感じでしょうか。
・この製品のWebや製品パンフがダサい。
・大規模なトライアルキャンペーンを展開したい、無料版をDMしたい。
・自分の担当テリトリー向けにテレマーケティングをやってほしい。
・競合会社が雑誌にでかでかと記事掲載している、うちはできないのか。
・この団体に協賛して、特定業界のリレーションを強化したい。
・この価格では勝てない、廉価版を出すべきだ。
で、このような要望が日々入っている場合、どのように捌いていますか。
■営業のマーケ要望の捉え方・捌き方
営業部門からの要望が入ってきた場合、個人的に極力心がけていることを4つ上げました。一点目は心構えでしかありませんが、二点目でマーケ内で検討すべき事項かを見極め、そして、三点目と四点目で対応の要否を現実的に考える感じでしょうか。
●営業要望が出ることは健全と捉えて、まずは聞くべし
営業組織が強い会社の場合、マーケへの要望・期待も高いものです、が個人的な見解です。一方で、マーケ要望が何も出てこない場合、営業がかなり個人プレイになっている可能性があります。このような個人プレイが行き過ぎると、マーケ協調する意識しない状態に陥ることになりますので、危険です。
営業部門内でのマーケに対するマインドシェア(関心、興味)を刺激する、最も良い方法はマーケティングの活動を営業にどんどん情報発信することです。営業メンバーが集まる部門会議にて、マーケティングが予定しているキャンペーンや製品計画を積極的にプロアクティブに情報共有しましょう。
●個人の意見か、部門の総括かを切り分けるべし
営業からのマーケ要望ですが、営業メンバーから個別に相談されるケースがあります。一般的に部門間を超える話は、部門長で行うことが組織の振る舞いにも感じますが、一方で営業からすると相談段階の為、まずは個別に話にくることになります。
相談は受けたとしても、相談事項が個人の懸念・希望事項なのか、部門全体のそれかを見極めする必要があります。この点から、営業部門メンバーから上がってくる要望事項について、必ず、部門長間でも協議する機会を持つようにしましょう。もしくは、あるメンバーからの要望について、それが部門全体の懸念かを部門長に再確認してもらうかです。
●営業要望をマーケの4P要素で整理し、GTMのインプットとすべし
営業からの要望事項には、直ぐに対応できることと、そうでないことが混在します。
マーケティングの4P、Product:製品、Promotion:プロモーション、Price:価格、Place:販売チャネルで要望事項を整理してみましょう。それぞれの要望により、対応を検討するマーケ担当も異なります。製品や価格であれば、プロダクトマーケティングですし、プロモーションであれば、フィールドマーケティングといった具合です。
マーケティング内部で製品のGo To Market Plan で4Pを整理している場合、営業要望を市場環境からのインプットとして考慮しましょう。これにより、製品であれば1-2年の周期での機能・価格の見直し、プロモーションであれば3ヶ月から年間ベースでの計画の再検討といったMECE、かつ時間軸別で状況が整理できます。
●営業要望を購買ファンネル上のクリティカルポイントかを見極めるべし
営業の課題・要望を購買ファンネルで整理すると、GTMインプットよりも、更に実践的になります。認知、購買検討、導入検討、リテンションといった段階でのマーケテイング側の考察を加味し、営業の要望が本当にクリティカルかを見極めるわけです。重要なのは、営業要望の指摘が正しいとしても、全体のファンネルの流れからして、インパクトの大小を見極めることです。
例えば、先述の営業要望の例で、次のような視点で状況整理します。すると、営業要望のインパクト、重要性が客観的に整理できますし、マーケ側の考えをより建設的に営業部門にフィードバックできます。
・営業要望:この製品のWebや製品パンフがダサい
→マーケテイング側の考察
・ダサくても、ウェブからの引き合い件数は平均以上に来ている。
・Web上の製品パンフ閲覧のPageViewは少ないけど、パイプラインは十分にできている。
・市場規模に対してパイプラインは既に十分ある。問題は競合に対する勝率の低さでは?
→結論:認知段階での製品パンフの良し悪しはあまり関係なく、検討段階での勝率アップの施策強化がむしろ必要
■最後に 市場環境の情報収集を営業だけに依存しないこと
今回は営業からのマーケ要望に対する捌き方をまとめてみました。営業のインプットは市場環境のひとつの声ではあるわけですが、場合によって、単なる言い訳ということもありえます。よって、営業だけでなく、販売パートナー、さらには自社の顧客に対するヒアリングや情報交換を行う機会を持ちましょう。これにより市場環境の全体感を抑えることができます。
また、このようなインプットをもとにマーケテイングのGTMPlanを整備し、半期・年間ベースで営業からのヒアリングの場を予め持つことで、日頃からのインパクトの低い雑多な要望に振り回されることは少なくなります。