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フィールドセールス協業型のインサイドが考えるべき部門間ルールとは?

さて、今週はInside Sales Conference も開催され、どうやら、日本的には今年がインサイドセールスの元年の雰囲気がありますね。B2B向けにインサイドセールス支援を提供するベンダーの方々と話をする機会もありますが、日本企業からの問い合わせ、依頼も増えてきていると聞いています。インサイドセールスには幾つか型がありますが、今回はフィールドセールス向けのSQL創出を目的・活動範囲とするインサイドセールス部門において、予め設定しておきたいフィールドセールス部門との部門ルールについて、TIPSを共有したいと思います。
 

■インサイドセールスと私

 
私自身はB2Bマーケティング、その中でもフィールドマーケティング部隊にて、デマンドジェネレーション、即ち、営業向けのパイプライン創出を行ってきました。2011年にマーケティング・オートメーションを導入し、その後、インサイドセールスの組織運営を統括していました。インサイドセールスといっても、皆さんご存の通り、取り扱う商材の複雑性と金額規模によって、フィールドセールスとの協業タイプとインサイドによる売切(案件クローズまで)2パターンありますが、私が担当していたのは前者のタイプでした。その為、名称はインサイドセールスではなく、リード・デベロップメント部隊という感じでした。
 
フィールドマーケティング部門で持っていたKGIは、マーケティング・リードから創出される営業パイプライン金額、および、そこからの受注額でした。その為、まずは営業にパスした案件機会をパイプライン登録・金額入力してもらう必要があります。そして、次にそのパイプラインの最終結果、すなわち、案件機会のロスト、受注までの結果をトラックしていました。インサイドセールスを立上げて、最初の頃は順調にパイプラインが積み上がるのですが、あるタイミングで幾つかの問題に直面しました。
 

■フィールドセールス協業型で最初に直面した課題とは?

 
インサイドセールスの立上げに直面した、最もインパクトのあった課題は次の3つでした。このように、いわば、初回の訪問前、訪問時、訪問後の三段階で落とし穴が待ち受けてました。そして、これに気づくのが販売サイクルが一巡した半年後、1年後だったりしました。
 
●訪問前:初回訪問で離脱しちゃってる問題
 
まず、インサイドセールスを立ち上げた直後は、営業達はかなり疑心暗鬼です。大手企業向けの案件創出はできるの?どうせ、アポ取りしかやらないんでしょう?という雰囲気でした。特に良い既存顧客をテリトリーとして保有している営業の場合、そもそも、新しい顧客、新しい案件機会に対する依存度も低かったりします。
 
その場合、インサイドセールスから営業へ案件情報を共有しても、訪問されないまま終わるケースが発生しました。その理由はいくつかありました。例えば、顧客が忙しいので営業がアポ取りを疎かにし自然消滅するケースが多かったように記憶してます。
 
●訪問時:事前ヒアリングと訪問結果に乖離ありすぎる問題
 
二点目は、インサイドセールスの案件情報を元に営業訪問は行ったところ、案件情報と悪い意味で話違ってました、というパターンですね。BANT情報を聞いているはずが、実際には予算がない、検討担当者のレベルではない、既存案件との重複していた、などといったケースですね。
 
日本の大手顧客の場合には顕著なのですが、そもそも、電話で顧客課題、案件情報、検討状況などをお話頂くのはハードルが高いです。ですので、事前ヒアリング情報との乖離は発生しやすいのですが、いずれにしても乖離を減らすことが重要でした。
 
●訪問後:受注したのにパイプライン消し込んでる問題
 
三点目は、パイプラインの更新が適切に行われないという問題です。ハイエンドの商材になりますと、販売サイクルが6ヶ月以上かかります。特にITでインフラ商材ですと、年度で計画ですので、今年度で予算申請、次年度に実行ですので、長い場合は2年ということもあり得ます。
 
その為、営業にパスしたパイプラインの結果が出るまでに長い期間を要しますが、その間に、いろいろとパイプライン消込問題が発生します。例えば、担当営業の変更により、既存のパイプラインがわからないから一旦全部消し込む営業がいたり、導入構成を複数見積するために新しいパイプラインを作成する(インサイド発生の案件を消し込む)といったケースがありました。
 

■インサイドとフィールドセールスでの案件段階別のコミュニケーションを活性化

 
これらの問題について、やはり、部門間ルールやSLAの設定、そして、進捗・状況を確認するコミュニケーションプロセスが必要という結論に至りました。また、いわば、現場担当者だけではなく、部門長間での可視化を工夫することで、ダブルチェックできる仕組みを組みました。
 
●初回訪問前の離脱
 
現場レベルでは、インサイドセールスで訪問日時の確定までを行うように、インサイドセールスとフィールドセールス間でのコミュニケーションを取ってもらうにしました。フィールドが面談日時をセットする場合、インサイドは訪問確定状況を継続的にフィールセールスに確認します。また、マネージャーレベルでは、インサイドの案件情報引き渡し日から1ヶ月以内での訪問をSLAとして定義し、この閾値をこれた案件について営業マネージャーに共有し、部下のフォローをしてもらうにしました。
 
●ヒアリング内容の乖離
 
まず、問題の可視化も含め、訪問後にフィールドセールスからインサイドへのフィードバックを行ってもらうようにしました。このコミュニケーションに、マーケ、営業のマネージャーが入ることで、ヒアリング内容の乖離の有無をトラックしていました。そして、あまりにも乖離がある場合はインサイドセールスのマネージャーがメンバーの案件内容をより事前に精査するなどの指導を行っていきました。一方で、マネージャーレベルでは、リード獲得から案件化までのサイクルを見て、もう少しナーチャリング、精査に時間を設けるべきなどの議論を行ったりしました。
 
●パイプライン消込問題
 
これに関しても、インサイドセールスがフィールドセールスと定期的に電話で話をしてもらい、案件の進捗結果を聞くにようにしました。一方で、マーケティング部門側でも案件ロスト時のヒアリング(特に大型案件)、または類似アカウントでの受注発生時の営業ヒアリングを行い、営業の消込発生を二重でチェックするようにしました。
 

■まとめ インサイドセールス案件の受注率を上げるため、離脱要因の把握と対策を行いましょう

 
ということで、インサイドセールス立上げ直後に直面した課題と対策について、個人的な経験をまとめてみました。ですが、私の場合、インサイドセールスは内製ではなく、外注利用でしたので、そこからの提案、TIPSがほとんでした。その意味で、外注利用時には、自社の商材・顧客規模にあったベンダーを選択することを強くオススメします。
 
また、問題箇所の早期特定には、各リードプロセス間でのコンバージョンをきちんんとトラックする仕組みを整備しておきましょう。
 
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