B2B マーケティングにおけるデマンド・ジェネレーションの予算取り回しの変化球として、パートナー協賛巻き込み型という打ち手があります。
■融通の効かない本社、限られたマーケ予算で実現できない大型イベント施策
外資系IT企業の日本法人にて、自社予算でデマンド・ジェネレーションを回している時に、次のような課題に直面したことはありませんか?
大規模な自社イベントを組みたい、または展示会に出たいけど、予算が足りない
1つのプロモーション施策の予算が大きくなると、大体、本社から精査が入るわけです。往々にして、本社側のマーケ担当は自分が企画した年次イベントや推薦した展示会とは異なる施策を各拠点がやり始めると、ご自分の企画、存在を否定されるように感じるでしょうか、または本社コントロールの収拾がつかなくなることを懸念し、大体反対しますね。これは皆様が勤めている会社の予算規模、社風によりますが。ちなみに、個人的な経験で言えば、前職の会社では自由度高かったので、数千万かかる展示会や年次イベントであっても、これで行くと決めれば話が通りましたが、今の会社ではかなりガチガチです。
このような場合にも、限られた自己予算で、イベントやプロモーションの規模を拡大できる残された方法があります。それは、自社の販売代理店=パートナーからの協賛を巻き込む方法です。そして、この巻き込み方にも2つの型があります。
■パートナー協賛 知っておきたい2つの打ち手パターン
パートナーからの協賛、すなわち、パートナーからのマーケティング費用を拠出頂き、自社の予算と合算して、より大きなイベント・展示会を実現するわけです。ですが、これも、誰が主催(=取りまとめ)の施策に協賛させるか、そして、どのようなパートナー原資(パートナー予算、もしくは、Marketing Development Fund)から協賛をもらうか、この二つの要素の組み合わせにより、2つのパターンがありえます。
●パターン1 自社主催のマーケティング施策にパートナー予算で協賛頂く
例えば、自社で年次イベントを開催し、パートナーに対するセッション提供、展示スペースの提供を行う代わりに、パートナー予算から協賛費用をお支払い頂く形式です。
余談ですが、一般的に、パートナーが自社の商材・サービスをマーケティングする場合に、その費用の一部を負担する仕組みとしてMarketing Development Fund (以下、MDF)と呼ばれるものがあります。例えば、パートナーがWeb広告を掲載する場合、その実施後に費用の一部をパートナーに提供します。そして、一般的に自社イベントへの協賛に関しては、このMDFは適用不可としています。理由は、自社のイベントの一部を協賛してもらうパートナーからの協賛の一部を自社で負担する、すなわち、資金が循環していて不自然だからです。従って、自社企画の場合はMDFは適用できませんので、パートナーには全額費用を予算化しておいて頂く必要があります。
このパターンの場合の課題としては、予算の実現性は担保できても、依然として自社主催になっている為、仮に主催イベント・セミナーが本社方針と相違する場合にはやはり反対意見が出る可能性が高いです。
●パターン2 外部主催の施策に、MDFレバレッジしたパートナー予算で協賛頂き、自社も相乗りする
パターン1の制約はMDFが適用できないから、パートナー側もがっちり予算を組んで頂く必要があります。そして、本社と異なる趣旨の施策については、実現性の不確かさが残ります。
一方で、このパターンは外部媒体社主催でイベント・セミナーを企画してもらいます。そして、この企画にパートナーにも協賛してもらう、その協賛にMDFを適用する、さらには自社も協賛します。この場合、マーケ予算の出処としては、パートナーのマーケティング、これにレベレッジをかけるMDF、さらには自社協賛分の自社マーケ予算となり、いわば、3つの財源から予算を最大化できるわけです。仮に、協賛するパートナー数が増えれば、(自社のMDF原資が潤沢にある前提となりますが)セミナー全体に投入できる予算も乗数的に増やせるわけです。
あくまで体裁としては外部企画ですので、イベント・セミナー名称も一般的な名称をつけることで、本社企画のフラッグシップイベントとのブランディング的なコンフリクトも回避できます。さらに、自社協賛分のマーケ予算も最小化できる為、大型イベントに発生しがちな本社承認も回避できる可能性は高まります。
■まとめ 自社のマーケティング予算の限界を感じたらパートナー協賛募集を考えよう
ということで、自社のマーケ予算の限界を感じたら、パートナー協賛による巻き込みでのイベント・セミナーの大型化を考えましょう。但し、いずれのパターンの場合も、パートナー企業のマーケ費用の持ち出しは少なからずあります。また、その持ち出しに対するベネフィット、例えば、マーケティングリードの提供なども設計上考慮する必要があります。これらの観点から、年間、半期といった周期でパートナーと連携してプランニングすることが大前提とはなります。
ちなみに、筆者はMDF負担率を100%として、4-5社の協賛パートナーを集めて、ほぼ自社の費用持ち出しなしで展示会に出展したことがあります。展示会場では各パートナー持ち回りでセッションをやって頂いたり、説明員のアテンド頂いたりしました。そして、リードは各協賛パートナーに按分で分けて、開催直後のフォローに利用頂きながらも、自社のデータベースにも蓄積して中長期でのナーチャーリングに利用しました。