スポーツや料理、プログラミング、外国語学習など、目的に合わせたグループやイベントをオフラインで開催するMeetUpですが、IT業界でもマーケティング施策としても認知されるようになったと感じています。自分なりに理解を整理する為にまとめてみましたので、そろろそ、MeetUpでも企画したいと感じているB2Bマーケターは参考にして頂ければ、です。
■MeetUpとは?
IT企業であれば、コミュニティーサイトは持っているかと思います。購入したツール、サービスに関する使い方での不明点を投稿したり、これらに回答するサイトです。コミュニティーサイトを社員でモニターして、回答漏れがないようには心がけている企業も多いとは思いますが、それでも次のような限界点があるように感じます。
・即応性:文章で質問を投げたり、回答を待ち続けるのは結構非効率
・専門性:業種、業務別のユースケースに関する深い質疑応答は不可
・機密性:専門的な情報、自社の課題、取り組みの情報公開は困難
そこで、ツール機能以外のビジネス要件、課題、成功事例、失敗事例をリアルタイム、濃く共有できる場として、ミート・アップというリアルな情報交換、ネットワーキングの場が補完要素として注目されているわけです。
■MeetUpをやってみて、感じたこと
実はMeetUpの開催、何度かトライしたのですが、なかなかうまく実行に至りませんでした。アジェンダとして、テンプレ的に考えていたのは次の通りでした。
【アジェンダ・テンプレ】
・取り組み事例をユーザ企業に話してもらう事例セッション。多ければよいので、2社でも3社でも。
・自社のコンサルタントなり、プリセールスがテーマの課題に対するアプローチを説明する。
・参加社同士でディスカッション。課題認識、取り組みに関する成功、失敗事項を共有する。
で、意外に難しいのがテーマの絞り込み、自社からの先進的な情報提供、そして、集客でした。以下を総括すると、MeetUpだから、手軽に早く企画・実行できるわけではなく、Engagement深い設計の場合、通常のセミナー以上に企画、集客に時間を要することを理解しておいた方が良いと考えます。
●テーマの絞り込み
テーマに即して、ディスカッションして、参加者同士のナレッジをどんどん共有してもらう、それにより自社の製品・サービスの利用・定着を推進するわけですが、テーマのレベル、ドメインの選択は結構重要です。恐らくは、以下のパターンぐらいになるかと思います。セミナーと異なり、参加者の情報交換が前提になっていますので、テーマの設定が集客成果に直結します。
・業種、業務部門別のユースケース
・顧客課題別のユースケース
・購買・利用ステージ別の課題、立場別の課題
コツは、このテーマであれば、各営業が確実に集客できるか、そして、それによって製品・サービスの拡販に直結するか、をマーケが考えて、営業で企画会議で合意を取っていくことです。拡販につながらないパターンのひとつとして、ユーザ会的な、既存ユーザの苦労話の交換会、発散となるというのがあります。ナレッジの共有が次のビジネスチャンスにつながるかを軸に考えましょう。
●自社からの先進的な情報提供
取組事例を発表いただけるユーザ企業のプレゼンテーションが網羅的であれば、いいのですが、なかなかそうはいきません。ユーザ事例で不足している情報、例えば、業界全体のトレンドや先進的な事例に関しては、やはり自社から情報補完をしなければなりません。残念ながら、テーマが深くなればなるほど、ツール売りなベンダーの場合、このようなナレッジを自社内で保有していない場合があります。自社、例えば、日本法人にはないにしても、本社側にないかなど、社内情報の収集期間が必要になるため、集客の案内開始前の企画段階でこの時間を十分に取る必要があります。
●集客
MeetUpで、特に深めのEngagement、すなわち、参加者同士のディスカッションまで行うレベルですと、集客は確実に参加いただける方、そして、ナレッジの共有・情報交換ができる経験・実績をお持ちの方が対象になります。これって、マーケティングのデータベース、CRMを見ても、まったくターゲィングできないですよね。つまり、営業でターゲティングして、集客をしてもらうことが大前提です。この場合、マーケティング・セミナーの集客期間が3週間から1ヶ月程度でしょうが、これと比較して、営業の集客案内、顧客内での参加適任者の検討など、時間を要しますので、集客期間は長めに取りましょう。例えば、1ヶ月半ぐらいは必要ですかね。
■Engagementが深いMeetUp ABMの打ち手の一つ
特にハイエンド、エンタープライズ向けの商材を扱う企業の場合、受注率の向上(案件単価は大きいが市場機会も限定的)、既存顧客の拡張・継続は、営業・マーケティングとして避けては通れません。そして、これを高めるにはEngagementが強い施策を打っていく必要があります。
これに最も適した施策がMeetUpではないかと個人的には考えています。MeetUpの呼び名が、Executiveの場合にはExecutiveRoundTable等に変わるわけですが、本質はコミュニティー、ネットワーキングを活用して、あるテーマに即した深いEngagementを提供することです。
ですので、ABMの取り組み中で拡張・継続段階の大手顧客が増えた場合、MeetUpを施策の一つとしてまずは計画すべきように感じます。